企業において、従業員の退職は避けられないものですが、そのたびに見落とされがちなのが「Wi-Fiセキュリティ」の問題です。特に、無線LANの認証にSSIDとパスワードだけを利用している場合、適切な対策を怠ると、退職者が社外からもネットワークにアクセスできてしまうリスクがあります。今回は、こうした問題の背景と、より安全な運用を実現するための方法、さらに「SingleID」というサービスを活用した効率的な対策について解説します。
SSIDとパスワード認証の限界
一般的な無線LANの認証方法として、SSID(ネットワーク名)とパスワードを設定し、接続を管理する方法があります。この方式は手軽であり、多くの企業で採用されていますが、大きな弱点も抱えています。
もし、従業員が退職した後も、パスワードが変更されていなかったらどうなるでしょうか?
退職者は、依然として自宅や外出先から企業のWi-Fiにアクセスできる可能性があります。社内の重要な情報へ間接的にアクセスできてしまうリスクも無視できません。
本来であれば、退職者が出るたびにWi-Fiのパスワードを変更し、在籍している全従業員に新しい認証情報を周知しなければなりません。しかし、実際には手間と混乱を避けるため、パスワード変更が先送りされるケースも少なくありません。その結果、セキュリティレベルが著しく低下してしまうのです。
エンタープライズ認証の導入を
こうした課題に対して有効なのが、「エンタープライズ認証」の導入です。エンタープライズ認証では、認証サーバ(RADIUSサーバなど)を利用して、利用者ごとに個別認証を行います。
この方式のメリットは以下の通りです。
- ユーザー単位で管理できるため、特定の個人だけをアクセス拒否できる
- 共通パスワードを使い続けるリスクがなくなる
- 退職や異動の際は、認証サーバ上のアカウントを無効化するだけで済む
エンタープライズ認証は特に、規模の大きなネットワークや、セキュリティ要件が高い企業に向いています。しかしながら、認証サーバの構築・運用には専門知識が必要であり、社内リソースが限られている企業にとっては導入・維持管理のハードルが高いと感じるかもしれません。
もっと手軽にセキュリティを強化できる「SingleID」
ここで紹介したいのが、クラウド型認証サービス「SingleID」です。
SingleIDは、無線LANやVPN接続に必要な認証基盤をクラウド上で提供するサービスです。自社内に認証サーバを設置する必要がなく、導入も管理も非常にシンプル。中小企業から大企業まで、幅広い組織で利用が進んでいます。
SingleIDを導入することで得られるメリットは次の通りです。
- 退職者や異動者への対応が即座に可能
ユーザーアカウント単位で管理できるため、退職者のIDを無効化するだけでアクセスを遮断できます。パスワード変更やSSID設定変更といった煩雑な作業は不要です。 - クラウド管理だからサーバ構築が不要
オンプレミスで認証サーバを構築・運用するための設備投資や専門知識が不要。クラウド上で管理できるので、ITリソースが限られる企業にも最適です。 - 安全な認証プロトコルに対応
EAP-TLSといった認証情報の暗号化にも対応しており、通常のSSID+パスワード認証に比べてはるかに強固なネットワーク保護が可能です。 - 利用者数に応じた柔軟なライセンス
従業員数の増減にもスムーズに対応できる柔軟なプランが用意されており、無駄なコストが発生しません。
セキュリティ対策は「今すぐ」「確実に」
無線LANのセキュリティは、退職者が出たときだけ気にすればいい問題ではありません。常に、「今現在、誰が、どの端末から、どのようにアクセスしているか」を可視化し、コントロールできる体制を整えることが重要です。
パスワード管理だけに頼る旧来型のWi-Fi運用は、もはや現代の脅威には耐えられません。エンタープライズ認証を取り入れた運用、さらにクラウド型認証サービスであるSingleIDの活用により、企業は安全かつスマートに無線LAN環境を維持できるようになります。
退職者トラブルだけでなく、不正アクセスや情報漏洩リスクから組織を守るためにも、今こそWi-Fi認証の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
SingleIDのご相談なら、ぜひお問い合わせください。